ある日、「みとびら」に一件のメールが届きました。DOOR1期の宮原さんからのメールです。内容はDOOR1期の藤井理花さんが関わっている特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]が招聘しているアナスタシア・アルテーメーヴァさんと一緒に私たちの活動を知りたいとのことでした。
アナスタシアさんはフィンランドのヘルシンキを拠点に活動するアーティストで、母国では刑務所の中の人と外の人をアートで繋ぐ活動もしているということで私たちに興味をもってくれたようです。アナスタシアさんの関心はとても幅広く、家事や労働の境界などをテーマに、教育分野や環境芸術にも造詣が深く、主にテキスタイルを使ったアートが得意な方です。詳しくはこちら。
藤井さんの通訳により、アナスタシアさんの活動をお聞きすると、フィンランドでは政府がお金を出して受刑者の支援に乗り出していて、かなり大きな企業が財団としてアートプロジェクトのスポンサーをしてくれているとお聞きしました。その中の一つに、刑務所の内外をポストカードで繋ぐという活動があり、実際の画像を拝見いたしました。スタイリッシュな女性の絵や悲しみに暮れる女性の絵など、多くのポストカードがありそれぞれのエピソードが気になるものばかりでした。ちなみにこの活動は同僚のアニカ・ニスカネンさんとアーリーン・タッカーさんと一緒に活動され、支援団体はコーン財団、フィンランド文化財団、フィンランド芸術促進センターとのことです。
「Invisible Neighbours project, 2015」
「見えない隣人プロジェクト、2015」刑務所の外と内をつなぐプロジェクトの関連画像
また、「フィンランドでは受刑者がある程度、制限はあるものの、個室が与えられ、囚人服を着ないで過ごす解放型の刑務所があると聞く。」ということをお伝えすると、確かに受刑者が場合によっては塀の中である程度自由があり、仕事ができて高収入を得ている場合もある。高収入を得ることは自立ともいえるが、反対意見もあって、福祉国家といえども賛否両論あるところらしいです。
アナスタシアさんは私たちの他にも日本の少年院の受刑者を支援する団体とも対談し、日本の受刑者を取り巻く支援に大変関心をよせていらっしゃいました。最後には、同じような活動をする仲間として是非何か一緒にできればいいですね。ともおっしゃっていただきました。着物から作ったメイトさんの製品を見ていただくと「素敵ね。どこで売っているの?」と目を輝かせていたのが印象的です。世界に同じような支援をしているという人がいるだけで心強いですね。 今回はDOORのネットワークによりグローバルなアーティストと繋がったのですが、改めて「DOORってすごいな。」と感じました。DOORが無ければ「みとびら」も無かった訳ですが、DOORのおかげで国境を越えられるなんて素敵な出会いでした。
Free Translation Project
アナスタシアさんが関わったプロジェクトの一つ
刑務所に何らかの経験を持つ人や影響を受けた人が参加できる国際アートプロジェクト。作品ギャラリーから心に響く作品を選び、視覚的な翻訳(例:写真から詩、絵画から映像など、異なる表現に転換・自分なりの解釈)をして、その作品への応答として、他の人が新たな作品を投稿できます。投稿はこちら。
※アナスタシアさんとの対談は2023年7月22日にオンラインで行いました。